主人の変化

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主人の変化

インターフェロン治療を開始して二週間くらいの時に主人が事あるごとに体中を掻きむしるのを頻繫に見るようになった。 肌着の白いシャツに点々と赤い血がついていたり、部屋や階段に皮膚の粉が落ちていたり、痒みでイライラして怒りっぽくなったり。 はじめの内は量も少なかったけど一ヵ月もすると毎日お茶碗に半分くらいの皮膚の粉がパラパラと落ちていた。 皮膚もボロボロで表面の皮は掻きすぎてすでに無く、血の混じった体液でぐじゅぐじゅになっていた。 服に貼り付かないようにガーゼをあてても搔きむしるからすぐにずれて服に染みが出来た。 薄い色の服も黒い服も着れず柄物を着ることが増えていった。 夜は痒みで眠れずビールをよく飲んで物に八つ当たりする事も増え、だんだんと暴れたり暴言も吐くようになって自己嫌悪になり、とうとう「死にたい」と言い出した。 自分がツラくて死にたいのでは無く、自分が言い放った数々の暴言で私を傷つけ、離れて行く妄想に苦しんでいた。 私はこれ以上治療を続けたら主人が居なくなってしまうんじゃないかと物凄く怖かった。 動物好きで、涙もろく、人懐っこくて、面白く優しい主人…。 翌週、先生に話し、血液検査の結果を見てもインターフェロンの効果が出てない事を確認した。 先生が「鬱の症状が強く出てるし血小板も下がって来てるし36週間の投与はもう無理だから中止。一旦、心身とも回復させよう」と言って23週間でインターフェロン投与は終わった。 主人はその後、計3回インターフェロン治療を受けたけど、その度に副作用に悩まされ、インターフェロン治療でウイルスが消える事は無かった、治りやすい2型C型肝炎なのに消えなかった。 その後、新薬登場でウイルス性肝炎、肝硬変の世界は変わる。劇的に。
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