僕の宝物

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 「まあ、そうですね」  宝物なんて、正直どうでもいい。僕はただ、この時間が無くなることが、惜しいだけだ。そんなことなどつゆ知らず、佐賀先輩は笑みを浮かべていた。  「そっかあ。そうだよね。なんだかんだ一緒にいたけど、五宝に能力を使ったことはなかったもんねー」  「この後、予定があるなら、無理にとは言いませんけど」  「いいよ」  佐賀先輩は、鞄からサイダーのペットボトルを取り出した。残りはまだたくさんあった。僕はスマホを取り出し、地図アプリを開く。  「それなりに絞らないとだよね」  「そうですね。じゃあ、このくらいで」  僕は手始めに、学校周辺をスマホに表示させた。スマホを白いテーブルに置き、佐賀先輩の方に渡した。佐賀先輩は既にサイダーを指に付けていた。  「それじゃあ、始めるよ」  目を瞑り、サイダーを指先からスマホに垂らす。画面がベタベタするだろうが、それは仕方ない。いつものことだ。  「あれ?」  サイダーはこの近くに反応を示した。マップを拡大すると、炭酸の液体はここ、ショッピングモールに移動していた。ああ、もしかしたら。
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