手、繋ごう

「てか、乃木さんって、
三鷹の幼なじみで有名な子だよね」

ふと、
思い出したかのように岩山先輩が声を出した。

「ぇ、あー、まぁ、一応、」

学年の違う、
岩山先輩まで知れ渡っているなんて知らなくて。

なんとも歯切れの悪い返事をしてしまった私。

「うーん。それなら、
この先、誰に告白してもフラれるの確定。
だから、恋なんて諦めた方がいいよ」

「...............えっと、それはどういう、」

〝どういうことですか？〟

岩山先輩に、そう聞こうとしたのに............

「............勝手にベラベラ喋んの、やめてくれる？」

いつもよりもワントーン低い、聞き慣れた声。

私よりも１つ年上の幼なじみ、
三鷹颯真（みたかそうま）の声が聞こえた。