二十八歳

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二十八歳

 ――遠くで、花火の上がる音がする。  建物に阻まれて見えないけれどそれはきっととても煌びやかで、あの音の下では賑やかなお祭りが開かれているんだろう。  そこに、あの二人も来ているはずだ。  今日もたこ焼きを食べているのだろうか。ゴム風船は釣れただろうか。浴衣の柄は去年と変わっているかもしれない。  クーラーの効いたリビングで、俺は二人の夜を想像する。
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