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「Re:えんじぇるママ」
「真夜中のメールボックス~えんじぇるママのメッセージ~」登場人物紹介
1. 田中 勝利-たなか・しょうり-
男子高校生。父親と妹と三人暮らし。
去年に母親の佐千子を亡くしている。
2. えんじぇるママ
勝利に真夜中、メールを送ってくる。謎の人物。
はたして、正体は?
3. 田中 勝智-たなか・かつとし-
勝利とまりあの父親。(名称のみ)
4. 田中 まりあ
勝利の妹。小学生。 (名称のみ)
5. 田中 佐千子-たなか・さちこ-
勝利とまりあの母親。去年に他界している。
📱・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・📱
俺は、田中勝利。高校一年だ。母親の佐千子が去年に亡くなり、現在は父の勝智と妹のまりあの三人で、暮らしている。
父さんが仕事に行くと、夕食とまりあの面倒は、俺の担当となる。
父さんは、休日は昼食と夕食の担当をしてくれているし、まりあも小学生になってからは、手伝いもしてくれるようになった。
でも、あの日から俺の胸にぽっかりあいた、この穴は、未だふさがる事なく。
夜中、部屋の中に一人でいると、涙が自然に溢れて来る。
母さんの事を無意識に考えてしまう。
俺はベッドに横になり、天井を見上げた。
涙が頬を伝い、耳の中に入る。それをティッシュで拭いて溜め息を吐く。
「弱いなぁ…俺。ガキかよ。」
自分に悪態をつき、独りごちる。
その時、深夜の十二時だと言うのにスマホの着信音がなった。
「んだよ。こんな夜中に」
スマホの画面を見ると、メールボックスに通知が来ていた。
何気なく件名を見ると、「久しぶり」と表示されている。
「ひさしぶり?なんだ。これ」
俺は、しばらく会っていない友人かと思い。メールを開いてみた。
すると、そこにはこう、文章がつづられていた。
(こんにちは。ひさしぶり!元気でやってる?)
「誰だ?」
差出人名に目をやると、えんじぇるママと書いてあった。
「なんだ。これ…イタズラにも程がある。」
削除しようと考える。しかし、差出人のメールアドレスには見覚えがあった。
「これ、母さんのじゃないか!」
母さんのスマホは、解約をしていなくてリビングのタンスの引き出しにずっと、しまってある。俺は、気になってリビングに行って、引き出しの中のスマホを取り出した。
充電はたまにしているので、すぐにでも使える。
電源を入れ、母さんのスマホのメールボックスを開くと送信タスクに俺に来た。
あのメールが、入っていた。
「嘘だろ? 父さんか、まりあが俺にイタズラでもしてるのか。」
一瞬そう思ったが、二人とも母さんを大切にしていたし、冗談でもそんな悪戯をする人間じゃないと言う事は、俺が一番よく知ってる。それにしても、おかしな事ばかりだ。
試しに、そのスマホをテーブルの上に置き、アドレス宛にメールを打ってみた。
「えっと、“あんたは誰だ?俺の事を何で知ってるんだ。”送信っと」
俺は、送信ボタンを押すとテーブルの上のスマホを見た。
すると…信じられない事が起こった。
(返信ありがとう。私は貴方のことを知ってます。私は、貴方の母親の佐千子です。)
メールがひとりでに作成され、俺のスマホに送信されて来たのだ。
「俺は夢でも、見てるのか?こんな事が起こるなんて…この令和の時代に」
変な霊でもいるのか?この部屋に。
まりあと父さんを守りたい俺は、震えをこらえて。質問を繰り返した。
何よりも、母さんのスマホで成りすまして、返信して来るのが許せない。
俺は、メールをそいつと繰り返し、でも、そいつの送ってくる答えは母さんしか、知り得ない事ばかりだった。
俺は、警戒心むき出しの文章から、打って変わって。心を込めて文章を打ち、返信してみた。本当に母さんなのかと。
すると、(そうだよ。驚かせちゃって。ごめんね。ショウくん。)と母さんが良く俺を呼んでいた愛称で送って来た。
「…母さんだ。本当に母さんが。」
俺は涙が、溢れて止まらなくなった。すると、突然、背中の辺りが温かくなった。
まるで、誰かに抱きしめられているような感触まである。しかし、周りには誰もいない。
「母さんなの?」
俺は、声に出してつぶやく。すると、何とも言えない優しい声音が耳元で聴こえた。
『ショウくん。いつも、まりあとお父さんを大切にしてくれて。ありがとう。いつも見てるからね。』
「かあさっ!」俺が振り向こうとすると、背中の温もりがスッと消えた。
「ありがとう…母さん。」
俺は、スマホを抱きしめて嗚咽を漏らして泣いた。
俺達家族は、母さんが、大事な人がいなくなっても変わらず、生きなくてはならない。
でも、肉体は滅びても魂はずっと、俺達と共にある。
これからも、母さんの思い出を胸に三人で生きてゆく。
この先に何があっても、俺達ならきっと、大丈夫だ。
見ててくれよ。母さん…。
-了-
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最後までお読みいただきありがとうございます。
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