エンドロール

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 僕はあの旅館から持ち帰った自分のパソコンを開いた。すると、ひとりでに アプリが立ち上がりエンドロールが流れだした。協力ロケ地の場所や登場人物の名前が、画面下からゆっくりとスクロールしていった。 「こういう所は、本格的なんだな……」  続いて、ゲームアプリ制作者の名前がスクロールされる。そこには吉澤さんの名前や遠田宗造の名もあった。そして最後に、監修としてタツジの名が流れた。 「平沢タツジ?」 「はい。どうやらそれが本名のようです。その後、ネットで調べてみるとS町出身の新聞記者だったと判明しました。ですが、すでに十年前に八十歳で亡くなっていました」 「なるほどね、うちの爺さんはそのタツジの記事が特に好きだったようだな。スクラップブックの多くはその人の記事だった」 「それにもう一つ、自画像が残されていました」  僕はパソコンの画面を編集長の前へとずずいと差し出した。そこには僕が遠田旅館で出会ったタツジと一緒に、もう一人の人物が描かれていた。白髪の髪をオールバックになでつけた老人だ。老人は、腰に刀を挿した袴姿で、この時代にしては実に恰幅の良い老人だった。 「彼らもまた、隠れ里に迷い込んだようですね」 「そうだな」 「んんんっ!? まてよ待て待て。んんんんんっ!?」  編集長はパソコンのモニターに額をつけて、まじまじとその絵画を見て言った。 「なんか、この人……このオールバックの……うちの爺さんに似てるんだよなぁ……」 「あ、ここを見てください」と僕が指し示した場所には画家の名前が記されている。そこにはミミズが這ったような、お世辞にも綺麗な字とは言えない直筆のサインが記されていた。
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