鬼灯

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 そうして僕は毎晩、見つからない目玉を探して、無駄な時間を延々と過ごしている。 「おい田野。朝から居眠りか? いいご身分じゃねーか、お前」  折りたたまれた新聞の束が、僕の頭を掠めていった。  時計を見ると就業開始時間はとうに過ぎて、朝の会議を終えた編集長が難しい顔をしてたばこをふかしていた。 「勘弁してくださいよ編集長。さっき原稿あげたばかりなんですから」 「お前は、変なゲームばっかりしてるから遅れんだろーが。知ってんだぞ」 「いや、それはそうなんですけど……」  僕は、書類や参考書でうず高くなった机に顔を突っ伏した。グゥの根も出ないというのはこのことだ。まさに編集長の言う通り、僕はここ数日どっぷりとゲームに熱中しているのだから。 「変なゲームって何ですか? エロゲー?」  にこやかな笑みを浮かべて出社してきたのは如月だ。如月は「おはようございます」と付け加え、徹夜明けの僕にも、眩しい微笑みをくれた。如月はアルバイトで、なんていうか、僕とはそういう関係でありながら、恋人未満といったところだ。 「如月ちゃんは、実にはっきりしているね。そういう所、好きよ俺。笑みの下に隠れた侮蔑の眼差し。実にいい。顔がいいだけで、毎晩ゲームばっかしてる奴にロクな奴は居ない。こんな奴、早く振っちゃいなよ」  むさ苦しい職場の紅一点なものだから、如月に対しては編集長の態度も激変である。 「あはは。茶化さないでくださいよ、編集長。で、なんのゲームなんですか? 田野さん」
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