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そして、卒業式が終わって数日後のことだった。
ブブ!と輝彦のスマホが震えた。画面には
”mioriがあなたを友達に追加しました”
と表示されている。と、続けざまにメッセージが送られてきた。
”スマホ買ったぜいぇい”
”新しい住所はここ↓”
それに続いて、神戸ではない住所が記された可愛らしいメモ用紙の写真。
”今電話していい?”
「おいおい連打かよ」そうつぶやきながら、輝彦が”いいよ”と返す。
程なく、画面に番号が表示され、スマホが震え出した。
「もしもし」
『もしもし』
「スマホ、買ってもらったん?」
『うん』
しばしの沈黙。メッセンジャーのテンションとは違う雰囲気に輝彦は少し戸惑った。
『約束通り、最初に、電話した』
「おお。登録しとくわ」
『うん。ありがとう』
再びしばらく沈黙した後、美織が口を開く。
『明日で、引っ越すねん』
「そか。気いつけてな」
『気い付けてって、電車乗るだけやし』少し緩んだ感じが伝わってくる。
『あの、さ』
「ん?」
『明日な、たぶん一時半ぐらいにJR乗ってくねん』
(それって・・・)輝彦は少し考える。
「じゃあさ」
『うん』
「駅まで送りに行くわ」
『えー!ほんま!?』美織の明るい声が飛んでくる。
「旗とか振ったろか?」
『いやーん、それはやめて』
笑う二人。
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