<1章>

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 そして、卒業式が終わって数日後のことだった。  ブブ!と輝彦のスマホが震えた。画面には ”mioriがあなたを友達に追加しました”  と表示されている。と、続けざまにメッセージが送られてきた。 ”スマホ買ったぜいぇい” ”新しい住所はここ↓”  それに続いて、神戸ではない住所が記された可愛らしいメモ用紙の写真。 ”今電話していい?” 「おいおい連打かよ」そうつぶやきながら、輝彦が”いいよ”と返す。  程なく、画面に番号が表示され、スマホが震え出した。 「もしもし」 『もしもし』 「スマホ、買ってもらったん?」 『うん』  しばしの沈黙。メッセンジャーのテンションとは違う雰囲気に輝彦は少し戸惑った。 『約束通り、最初に、電話した』 「おお。登録しとくわ」 『うん。ありがとう』  再びしばらく沈黙した後、美織が口を開く。 『明日で、引っ越すねん』 「そか。気いつけてな」 『気い付けてって、電車乗るだけやし』少し緩んだ感じが伝わってくる。 『あの、さ』 「ん?」 『明日な、たぶん一時半ぐらいにJR乗ってくねん』 (それって・・・)輝彦は少し考える。 「じゃあさ」 『うん』 「駅まで送りに行くわ」 『えー!ほんま!?』美織の明るい声が飛んでくる。 「旗とか振ったろか?」 『いやーん、それはやめて』  笑う二人。
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