2人が本棚に入れています
本棚に追加
能力のせいか、俺は生物の寿命が感覚で分かる。繰り返すうちに、コバンへ与えられる寿命の制限を感じていた。
野良猫から3日分の寿命を吸い取っても、コバンの寿命は1日しか延びなかった。やがて半日、数時間、数分と減っていた。コバンの命は限界を迎えていたのだ。
それに焦っていた俺はついに。公園で野良猫を1匹、殺してしまった。
勢い余って命を吸い取りすぎたのだ。酷くショックだった。
腕にコバンを抱えたまま、野良猫の死骸の前で泣きじゃくっていた。
そんな時。
――――『ねぇ、なにしてんの?』
肌がじりじり焼けるような夏の午後。
声をかけてきたのが悠人だった。
悠人も俺が野良猫を殺してしまった様を見ていたようだった。
だが彼は、俺が野良猫を殺したことを指摘してくることもなく、
『その猫、可愛いな』
コバンを撫でて、そう言ってくれたのだ。
それでも俺が泣き続けていると、
『泣いてるってことは、ワザとじゃないんだろ?』
悠人は微笑み、数十円のアイスバーを俺に渡してくれた。俺を泣き止ませるために、近場で買ってきてくれたのだ。
アイスバーを受け取ってうなずくと、悠人は何があったのか訊ねてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!