今更元の世界に戻っても困る程の期間

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 如何にもな大聖女の仕事として、「邪気に塗れた地を浄化する」がある。しかし、異世界召喚に頼る位には、様々な地に浄化の必要が有った。それなのに、いちいち馬車で移動していてはらちがあかない。そんな訳で、専用の転移用魔法陣が使用される。  その転移用魔法陣の場所は、ごく一部の人だけに知られている。当たり前だ、その場所を知る人が増えれば、防犯面に不安が出る。もっとも、魔力を持たない人には転移用魔法陣が使用出来ないので、異世界召喚された魔力チートの存在ありきな移動方法とも言える。  依頼が来た場合、ある程度の数の兵士を伴って、最寄りの転移用魔法陣を介して現場に向かう。当然、人里離れた場所程厄介なので、今の所は後回しにしてある。優先順位があるのは、この世界でも変わらない様だ。  ただ、どうしても浄化する必要のある場合は遠征もする。その場合は、移動しながら物質を輸送して貰えるアイテムと共に移動する。そうでもしないと、浄化する必要のあるエリアでの食料調達は難しい。浄化しながら移動するので、それ以降ならば食べられる実も得られる。しかし、浄化する前は草木が枯れている為に、食料の現地調達は出来ない。例え果実が出来ていても、邪気に満ちた地で育った果物を食べたら、体調は悪くなるそうだ。  そんな訳で、食料を転送する魔法が無ければ、遠征する皆が飢えてしまう。魔力は薬で回復出来ても、体力はやはり食から回復したい。食べないと、メンタルも安定せず、魔法を使うにも支障が出る。そんな訳で、毎日決まった時間に食料は転送されてきた。  そうして、邪気の根源まで到達したら、浄浄化魔法を発動。後は、兵士が「邪気を放っていた仕掛け」を破壊して遠征は終了。後は、帰還の護符的なアイテムで王都まで一気に戻る。これがあるからこそ、手加減無しに魔法を使える。  もし、ずっと馬車や歩きで移動をするなら、魔力は温存しておきたい。だが、転移魔法でどうにかなる世界なので、魔力の温存はそこまで考えなくて良いのが気楽だ。おかげで、レベルや魔力上限が上がった。魔力を供給するだけの怠惰な生活では溜まらなかった経験値が、遠征の度に溜まっていくのを感じる。やればやるだけ経験値が溜まり、強くなるのはとても楽しい。  こうなると、新しい魔法を構築することにもチャレンジしたくなる。そう、元居た世界の物を召喚出来るなら、どうにかして情報も召喚出来ないものか? 戻れないなら戻れないなりに、レベルアップ以外の娯楽が欲しい。召喚出来るのは、所有物だけと言う縛りはあれど、本や日用品等は召喚出来た。だが、本を読んだら読んだで、その続きを読みたくもなる。紙の本は無理でも、データだけを召喚出来ないものか? 今まで学んだ知識を総動員して、試してみることにする。
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