今更元の世界に戻っても困る程の期間

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 文字を変える原理、魔力によってインクの位置を予め設定しておいた位置を反映させる。言葉でだけなら簡単そうでいて、実は難しい。なので、悩んでいたせいか寝不足になってしまった。そして、そのせいか魔力が安定せず、そこから体調不良を悟られてしまった。 「何か、仕事や生活面で問題がありましたか?」  オブラートに包まず、ストレートに聞いて来る異世界の人。まあ、そうだよね、それが簡単に解決する問題なら、しちゃった方が魔力も安定供給出来るし、ストレートに聞くよね。そんな訳で、隠すのも何なので「やりたいことがあることと、その為に試行錯誤をしているが、上手くいっていないこと」までを伝えた。元の世界の情報を得る為に実験をしていることは、今の所伏せておく。 「そうでしたか。もし、私共にお手伝い出来ることがありましたら、何なりと」  異世界側の対応が私の不調の原因では無かった為か、深掘りはしてこなかった。そんな訳で、魔力は何時もの様に規定量を供給しておき、遠征の前や魔力を供給する予定の有る前日は実験を控えて早く寝ることにした。すると、案外寝不足もバレない様だ。  そうこうしている内に、実験開始から体感で数ヵ月が過ぎた。そうして思った。ディスプレイを自作することが、そもそも難しい。魔法のある異世界だからと、それが全てを解決する訳では無いのに。  そんな訳で、異世界魔法のアイテム収納から、ディスプレイが二つに分かれたゲーム機を取り出した。特に三次元でも無ければ、スイッチもしない二画面のゲーム機。これを、手伝いを申し出た人に見せて、似た様な物が作れないかを聞いてみよう。  勿論、その人が何とか出来るとは思っていない。その人の人脈が役に立つとは思っている。何分、国の中でも上級の職に就いている人だ。人脈は広いだろう。その中には、チート級のギークも居るかも知れない。電源は以前に開発した魔力を電力に変えるアイテムを利用する。そして、実際にディスプレイが使えることを確認。後は、どう話を切り出して交渉をするかだ。
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