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だけどそれは許されない。
あたしはゴクリと唾を飲み込んで祖父の病室を見つめた。
軽くノックをしてドアを開けると、さっきと同じ様子で眠っている祖父が見えた。
「お祖父ちゃん教えて? あのシュレッダーは一体なんなの?」
ベッドの脇に手をつき、そう質問する。
声は情けないほど震えていた。
「お願いだよお祖父ちゃん……あたし怖いよ!」
知らず、涙があふれ出した。
このまま1人になるなんて嫌だった。
どれだけの記憶を消してしまったかもわからないまま家に帰るなんて耐えられない。
その時だった、お祖父ちゃんがまたうっすらと目を開けたのだ。
こんどはしっかりとあたしに目の焦点を合わせている。
「お祖父ちゃん!?」
「敦子……」
酸素マスクが邪魔なのか、顔をしかめて取ろうとする。
あたしはお祖父ちゃんの酸素マスクをはずしてあげた。
「お祖父ちゃんお願い助けて!」
「そんなに泣いてどうした?」
お祖父ちゃんの弱々しい声に胸が痛くなった。
こんなに弱っているなんて知らなかったなんて!
記憶を消してしまっていたなんて!
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