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「転入そうそうキャンパスの七不思議を解き明かしたリブラ・バートンくん?」  バークリーアカデミー校舎の屋上に設置されたベンチで、昼間とは打って変わった冷たい風を受けて、心地好く寝ころんでいた僕は片目を開けて頭上に目を向けた。そこにはストレートに月明かりを浴びた、赤褐色(せっかっしょく)の肌をした女性が立っていた。  こんな時間にここまで侵入する人間が自分の他にいるとは思えなかった。だから女性がまだ知らぬ先生か、自分を担当する予定のスクールカウンセラーかと思った。 「誰ですか?」 「私は元生徒会長のマロン・クリフト。四年生よ」  マロン先輩は僕が横になっているベンチのわずかなスペースに腰かけた。 「最初から不思議なんて一つもなかったですけど」  僕は七不思議なんて面白くもなかったという意味を込めて、立ち上がり体を伸ばすとマロン先輩と少し距離を話してベンチに座った。 「そっか。そんな君にお願いがあるんだけど。て言うか。八つ目の不思議に興味はない?」 「八つ目? 誰も言ってませんでしたけど」 「そこなのよ。旧校舎があるのは知ってる? そこに封印された八つ目があるのよ。新校舎に移る時、置き去りにされた不思議が」  その時の先輩の瞳は、月を映して光っているように見えた。
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