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「ブレイカーがあるはず。見てくるからリブラくんは、ここにいて」
「危ないですよ。先輩! そうだ」
何も見えない中、懐中電灯を取り出した。ところが点く事を確認して持って来たはずなのに、まったくスイッチに反応しなかった。
「そんな。どうして」
懐中電灯を叩くと、今度は携帯電話を取り出した。すると電源が切れていてスイッチも入らなくなっていた。
軽い寒気を覚えた僕の耳に、微かに音楽が聞こえて来た。
「これは……まさか、八つ目の?」
耳をすまし音源を探した。慎重に手探りで近付き、ゴミ袋が入ったカートらしき物の下を覗き込むと、小さな明かりが見えた。
「携帯電話の着信メロディ?」
手を伸ばして拾い上げると、それを待っていたかのように携帯電話は沈黙した。ふたたび真っ暗になると、明かりがついた。
「見つけたのね」
背中に先輩の気配を感じたが、僕は振り向かなかった。
「先輩。僕に見つけて欲しかったんですね。信じたくはないんですけど。そういう事ですよね」
「気付いていたんでしょ?」
「僕は不思議が嫌いです。ただ知らないだけなんです。先輩は八つ目の不思議を、深夜に響き渡る着信メロディだと言った。でも。当直の先生たちが聞いたのはメロディだけです。それが噂になったとしても、行方不明になった生徒と結びつけて着信メロディにまでなるのは不自然です。先輩はそれが着信メロディだと知っていた」
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