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 エレベーターの電源を復旧させる事で、僕は無事に救出された。エレベーターが動くはずはないのに、どうやって降りたのかと聞かれたけど、話したところでそれは不思議な事で片付けられた。  僕が見つけた白骨は、五年前に行方不明になったマロン・クリフトだった。そしてマロンの携帯電話が見つかった事で真相が明るみに出た。 「携帯電話は壊れてしまっていたけど、先輩は録音を残す事ができた。当時校長だったスタークスの息子タッドに、ずっと肌の色で嫌がらせを受けていたこと。その日はタッドが先輩の携帯電話をダストシューターに投げ込んで、それを取りに行って、階段の扉を閉められ閉じ込められたこと」 「酷い!」  数日後、僕はロージーに知り得た真相を話していた。あの日の事を誤魔化して。 「最悪だったのが、天候が悪化して雷が落ちた事だ。エレベーターが動かなくなった事を知らないタッドは、そのまま帰ってしまった。先輩は正真正銘、閉じ込められてしまったんだ」 「でもゴミの回収は? 行方不明で騒ぎにもなったでしょ?」 「うん。ゴミの回収は四日後の週末だった。先輩の親が学校に連絡したことで行方不明を知った校長は、息子にも何か知らないかと聞いた。そして事実を知った校長は、発覚を恐れて食堂と図書室を封鎖。ゴミ回収もキャンセルして階段もエレベーターも塞いだんだ。そのまま新校舎を建てて、旧校舎ごと封印した」 「酷すぎるよ! どうしてそんな事ができるの!」 「親も親なら子も子。スタークスの本質は差別主義者だったのさ」
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