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 バークリーアカデミーの学食は、校舎と同じ敷地内に造られた円筒形の建物の一階にあった。建物は独立して造られただけあって、外から見ても十分な広さが感じられるほど立派だった。  一階学食の入り口とは反対側に、アーチ形の入り口があった。サラマンダー、ウンディーネ、シルフ、ノーム、四大精霊で装飾されたアーチを抜け、外壁にそった階段を上ると、紙とインクの匂いが僕の鼻を刺激した。  貸し出しカウンターを中心に囲むように並べられた本棚は、前後の配置を半分ずつ横にズラすことで縫うような動線が確保されていた。  明り取りの窓も大きく、明るい図書室を僕は『アカデミー資料』と案内板にあった方へ向かった。  アカデミー資料は本棚の下三段に、こじんまりと収められていた。五年区切りで生徒が作った『バークリーアカデミーアニバーサリー記念誌』。四年前の新校舎完成に合わせ作られた立派な装丁の『バークリーアカデミーの軌跡』。当直の先生が書き残した『当直日誌』などだった。  まず僕はバークリーアカデミーの軌跡で四年前の新校舎が建てられた頃から調べ始めた。学校の不思議が移動したのも、この頃のはずだからだ。さすがに学校が作った記念すべき本で、学校の不思議など触れられてもいなかった。ただ噂とは違った不思議と思えることは幾つかあった。そして当直日誌が、そのヒントとなった。  時間が経つのはアッという間で、利用時間も終わりとなった。僕なりに大まかな推測も出来上がったので帰る事にした。  あとは夜を待って実際の旧校舎で何が分かるかだ。    
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