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「ゴミを置くだけの場所なら資料に残ってないのは頷けます。でも出入り口は絶対にあるはずです。ゴミ回収には清掃業者を使っていたでしょうから」  僕は目を閉じて、昼間から今までに見て来たものを思い出していた。 「廊下には扉と窓が並んでいるのに、一ヵ所だけ壁の所がありましたよね」  しゃべりながら歩き出した僕の後ろを、先輩は何も言わずに付いて来た。  さっき草の影を人影と勘違いした真っ白い壁の前に着くと、僕は壁のあちこちを叩いてみた。 「ただの壁じゃなさそうですね。きっと階段かエレベーターがあった、は、ず? そうか! 先輩、外に行きましょう」  蔦の伸びた壁の前に着くと、僕は両脇にあるエアコンの室外機を調べた。 「地下にゴミ庫があるなら、ガスが溜まらないように空気穴が必要です。この両脇にあるのは室外機だと思ったんですがファンだけです。きっとその為の設備じゃないでしょうか。だとしたら、この後ろに」  僕は草を掻き分けると、蔦に手をかけ引っ張た。プチプチと音を立てて蔦が千切れ、その後ろに見えた木材も引っ張ってみたが、それは動かなかった。 「木材で作った格子みたいですね。きっと、わざと立てかけたんだ」 「私がこっちを。スリーカウントで思い切り引っ張るわよ」  先輩に合わせスリーカウントで体を反らせ、後ろに倒れる勢いで引っ張った。すると徐々に木材が動き出し、蔦の塊と一緒に僕たちも草の上に倒れた。 「やりましたね先輩」  蔦が密集していた場所に、エレベーターのドアが現れた。それを見上げる先輩の横顔に声をかけた僕は、月明かりに照らされたその表情から感情を読み取ることが出来なかった。
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