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翌日、私は田中君に好かれているかもしれないと思いながら出勤した。いつもと違って田中君のことが気になった。
しかし今日は残業にならなかった。田中君の方を見ると、とても落ち込んでいた。
「田中君、どうしたの?」
「いや、今日は残業ないんだなって思って」
田中君のネクタイはきっちり結ばれていた。私はそれを見て嬉しくなった。
「田中君、もしかして私と一緒に残業したかったの?」
田中君が驚いて目を丸くしていた。そして苦笑いを浮かべた。
「実は伊藤さんのことが好きで。伊藤さんと残業できるのが嬉しくて」
「私が気にしてる所を気づいたの?」
「伊藤さんの視線でだらしない所を発見してすぐに直しました」
「田中君、かわいいね!」
私は田中君の肩を指で小突いた。
「残業なんてしなくても、これから一緒にイタリアンのお店に行って夕食を食べない? どうかな?」
田中君が満面の笑みを浮かべて喜んでいた。
「ぜひ、ご一緒させてください。宜しくお願いします!」
田中君の笑顔を見て私は本音を吐露した。
「私もいつも私のことを想ってくれる田中君が好きになったんだよ。これからも宜しくね」
「ありがとうございます!」
私は田中君と手を繋いでお店に向かった。私はとても幸せな気分になった。
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