Episode2 遠くへ

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 カーキ色のコートのポケットから、真空袋入りのB5の紙が差し出された。取り囲み、前のめりになって覗き込む。 「イヤ。知りません」 「これが……?」 「…………」  すぐに否定した藤に対し、修とクルの眉間に皺が寄った。 「君たち二人は知ってそうだね?」  犯人を炙り出すのに成功したみたいな、疑い切った眼差しが向けられる。 「知ってるってほどじゃありません」  生まれた誤解を解くために、修は口を大きめに開けて、おじさんの目を見た。  もう一人。若い方の警官の左隣に立つクルが「それ多分、あだ名です」とこともなげに呟いたから、若い警官が驚き半分で首を傾げた。 「あだ名??これが??どっからどう見たって、メシのリストにしか見えないけど?」    その警官の言う通り。メモには上から、 【生姜焼き】 【ソーセージ】 【天ぷら】 【スルメイカ】 【パスタ】 【味噌汁】  と、料理や食材の名前が、無機質に書かれている。  受ける印象は、食いたいものをただ書いただけ。そんなもんだ。特別何か意味があるようには、修にだって特に思えない。 (ここ数日で。この中のワードを、偶然二つも耳にしてなければなぁ)
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