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最寄り駅の改札を抜け、ホームへ着いたばかりの電車に乗る。
この数分。各々考えていたであろうあだ名の由来を、藤がポソッと口から零した。
「ツッチーのって……。なんでもないわ」
「っ。藤さんってどこまでも藤さんだな」
こんな時ですら、路線変更出来ないマイペース人間に、若干引きつつ口元が緩む。
修の右で手摺りを掴み、人一人分の距離を取り、他人の振りをしているクルの臨機応変さも、修が知るいつも通りのものだった。
この二人の関係性もまた、正反対に見えるのに、それでも何故かつるんでいる。
同高だったカマとツッチーを除き、なんとなく集った文学部一目立つ集団。
(ツッチーは、一体どんな気持ちで、料理名のあだ名なんてものを付けたんだろ?)
何一つとして共感出来ない行動の連続に。この日、修はますますツッチーを遠くに感じた。
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