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Episode3 欠片
その翌日。夕方になって、修たち五人は再び葬儀場で顔を突き合わせた。
恐らくダイイングメッセージであろう例のメモについて。知らなかったことが余程悔しいのか。カマの修やクルに対する態度が露骨に悪い。
『あのあと、親御さん。すぐきてくれたのか?』
地方住みのツッチーの両親。
(新幹線のチケットの都合で、到着が遅れてるってみっつんに聞いたから、確認も込めて訊いたのに)
SNSのグループは既読から動きを見せずに、早半日。
(依存症か???って速さで返信してきたかつてのカマは、一体どこに消えたんだよ?)
念のため、カマと一緒にいるはずのみっつんへも同じ内容を送ったら、5分と経たずに返信がきた。
「えっ、カマのやつ。まだ例の件引き摺ってんの?」
彼女とのデートを引き上げてきた藤が、驚きで、着慣れないスーツを整えていた手を思わず止める。
「そ」
ネクタイをやや緩め答えるクルは、オフスイッチのようで眠そうだ。
その表情に、修の胸が瞬間安らぐ。
「おっ。みんな結構早いじゃん」
「うす」
大きくこちらへ手を挙げるみっつん。
その傍らに、スラックスのポケットへと指を嵌め、渋々付いてきた風のカマが並ぶ。
不服そうな表情に、なんとも言えぬモヤモヤが募る。
「なぁ、カマ」
「良いよたなやん。先、行こう」
かけた声を、立ち上がったクルの言葉と動きに遮られた。
「でもっ、このままじゃ」
「言ったところで聞く耳なんて持たないよ。時間の無駄」
「んだと。てめぇ!!!」
クルの胸倉をカマが掴んだ。
「落ち着け!カマ」
二人の距離を割くように、みっつんが大の字の体勢で間へ入った。
茶髪の眠たげ天然パーマと赤メッシュのチャラい男が、眉間に皺寄せ睨み合う。
一体何が起こったのかと、大人たちがざわつき出した。
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