Episode3 欠片

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「すみません。もう大丈夫なんで。お騒がせしてホントすみません」  修が各方角に、ペコペコと頭を下げる。 「ありがと。みっつん、たなやん」 「……………………」  お礼を言ったクルと鼻息がまだ荒いままのカマを見遣る。修がなんと言うべきか迷っているのを察したのか。双方へ向けて、みっつんが珍しく真面目な顔で口にした。 「お前らさ。これからツッチーのこと見送ってやるんだろ?なら、喧嘩なんてしてないで、ちゃんとしようぜ。な?」 「こんなことなら、エロ本の趣味。聞いときゃ良かった」 「藤。お前の頭の中、どうなってんの?」  壁際に立つ人間に、条件反射で思わずツッコむ。  みっつんの人差し指と親指が、綺麗にパチンと音を鳴らし藤へと向いた。 「ツッチー。純粋系に弱かったけどな。あと儚い系」 「嗚呼〜。なら、あ」 「あああ〜〜っ!!!そっ、そう言えば!!」  勢い任せに言葉を被せる。 (藤のやつ!!いま何言おうとした?!頼むから勘弁してくれ)  マイペースなのは構わないが、周囲を気にしないにもほどがある。  大学生にもなって、TPOというものが未だ身に付いていない脳内ピンクバカを、修はわざと白い目で見た。 「たなやん今日、川島並みにゴール防ぐじゃん」  少し楽しそうに呟かれ、小中とサッカー部だったクルを睨む。 「元はと言えばクルさんが、俺とカマの話し合いを邪魔するから」  襟ぐりを直す垂れ目を見つめる。  振り返ると、すぐ向かいにいたはずの、カマの姿がそこにはなかった。
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