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「なぁ、カマは?」
誰か見てやしないかと、三人の顔をさらっと見回す。
ガバッと左肩に重みを感じて、アクションだけで、みっつんだなと、修は憶測が付いた。
案の定。やや高くてデカいみっつんの声が、耳元で響く。
「そういう世話焼きなとこ。たなやんのめっちゃ長所だけど。今はオレも、クルさんに賛成だわ」
「なんで?」
「時間が経たないとな。カマって基本激情型だし。それにほら。これまではこういう時、決まってツッチーがカマを宥めてくれてたじゃん??でももうツッチーはいないわけじゃん?」
「だからって、このままだとっ」
「「「……………………」」」
修の言葉に全員黙る。
薄々だ。多分、四人とも勘付いている。
ほんの一瞬、少し遠い目をしたみっつんが、瞼を閉じてそっと告げた。
「俺はお前らと過ごすの居心地いいよ。もしそうなっても、カマはカマでつるむだろうし」
「まぁ……彼女出来たから、もう合コンの必要性はなくなったし。その時はその時で」
「藤。いざとなったら、この四人でナンパ行きゃいいから」
「それはたしかに。真面目そうなたなやんと、可愛い系のクルさん連れてたら、絶対成功率高くなる。ナイスみっつん」
「お前らなぁ……」
何故だろう。六人が四人になって、過半数は前となんら変わりないはずなのに。
絶対的な存在が、大きく欠けたと思い知らされる。
ツッチーがいない。カマがいない。
取り戻したい感覚が、修の心にカチッとしっかり火を点けた。
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