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一限からという明日の現実を思い出し、足早に帰宅する。
「ただいま」
「修くんおかえり」
妹のちかが、玄関で宅配便だろうダンボール箱を解体していた。
「俺のあった?」
「修くんのはないよ。あったのは私のと奈々の」
「そっか」
姉妹に挟まれた真ん中っ子。
(モテないのは、女子二人に振り回されてきたこの境遇のせいもあるかもしれない。いや、そうに違いないと思いたい)
風呂待ちの間に、リュックの中身を確認していたら、やたらとグループの通知が飛んできた。
(なんだ?急に)
『誰か古典芸能史取っててノート書いてるやつ。救済求む』
(なんだよ。ビビらせやがって、みっつんかよ)
一年の時。オリエンテーションへ寝坊してきて、最後列にいた修の隣に滑り込んだ金髪ツンツン頭。
知り合った日からブレることなく、仲間内で一、二を争うだらしなさのあやつは、どうやら選択科目のノート提出にお困りのようだ。
『知らん』と三文字打って修は風呂へと向かった。
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