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「おばあさん、ここでいいですか?」
「ありがとうねぇ。お嬢ちゃん。道案内してくれて。しかも荷物まで運んでくれて」
「いえいえ。私、この近くに用事があって。じゃあ、失礼します」
春の明るい空の下。高校帰りのとある街で、私はグンとセーラー服で伸びをした。
黒くて重い長い黒髪を揺らして、私はため息を吐く。
「おじいちゃん、ここら辺で待ってるって言ったよね。どうしたんだろう、急に」
慣れない街中で、キョロキョロとおじいちゃんを探す私。
「碧ぃー待ってたぞ!」
「おじいちゃん! 二年ぶり! 早く用事済ませてよ。今日は好きななアニメの放送日なんだから! リアルタイムで見たいの!!」
そこには、立派な白髭を蓄えた我がおじいちゃんが立っていた。しっかりとした高そうなスーツは、前回のカジュアルな服とは大違いだ。何故そんな気合が入ってるのか謎である。
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