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一人分の雑炊だから二人だとすぐに食べてしまう。だが水分の多いものだから、割とお腹は満たされる。食べ終えると丁度菜々美が家を出ないといけない時間だったので、後片付けは引き受けドタドタと出ていく菜々美を見送った。
雑炊を椀に移した後空いた鍋に水をためていてくれたおかげでこびりつきに悩まされずにすんだ。使ったものを洗って水切りに干し、キッチン周りを拭く。するとお腹が満たされたためか急に眠気が襲ってきたので、俺はベッドで横になった。雑炊の温かみが口腔と喉に残っている。講義は昼からなのでそれまで眠ろう。そう思って目を瞑った。
その瞬間、真っ暗な視界にアイツの顔が頭に浮かんだ。
あれ、俺ってこんなことしてていいんだっけ。
当たり前の日常で心が温まっていたその時、俺は自分が犯した罪を思い出した。アイツは俺に無視された恨みを抱えながら死んだ。でも俺は不覚にもアイツのことを忘れ、幸せを感じていた。
やっぱり屑だな。
そう自分を罵ることしか出来ない現実もまた、俺を追い詰めるものの一つだろう。
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