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 ダラダラと時間が過ぎてゆき外が明るくなってきた頃、次のシフトの先輩が出勤して来たことで俺の勤務時間の終わりが見えた。雨が降っているようで、二人とも濡れた傘を手に持っていた。店に入る前に払っただろうが、どうしても落ちる水滴が均等にならんでいる。  二人が出勤してきた直後、誰かが空っぽだった店に入って来た。それは菜々美だった。  「早起きしちゃった。」  菜々美は俺を見つけて笑った。菜々美が嘘を吐いているのはすぐにわかった。顔は疲れていて、出社のために縛った髪は少し乱れている。化粧も既にしているが顔の疲れを隠すようにいつもより少し濃いめだ。菜々美は恐らく一睡もしていない。無理に笑うその顔を見るといたたまれなくなる。  「たまにはいいね、早起きも。優雅に朝ごはん買いに来ちゃったよ。あ、もう終わる?一緒に帰ろうよ。」  丁度勤務終わりの六時になったため、俺はうんと頷き、交代の先輩たちに挨拶をしてすぐに着替えた。裏の冷蔵庫に大量に置かれている廃棄物から出来るだけ新しいものを適当にとり、バックヤードを出た。菜々美はサラダのコーナーの前で棚を眺めていた。  「お待たせ。」  俺が声をかけると菜々美はこっちを見て微笑んだ。  「お疲れ様。何か買おうと思ったけどやっぱりいいや。どれも美味しそうで決められないから。」  そう言って菜々美は帰ろうと俺の腕を組んだ。その力はいつもより強い気がした。多分、菜々美は一晩中俺を心配していたんだろう。二人で入った一つ傘の下、俺の不安定を支えるように菜々美は俺の隣を歩いていた。
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