生きて

悔

　アイツが死んだと耳にした俺は、初めはハッタリだと鼻で笑った。と言うのも、アイツはよく構ってほしくて死を仄めかす報告をしてきたからだ。たまにアイツからのメッセージや電話を無視すると、俺のせいで傷が増えたと無数のリストカット跡を見せつけてきた。そんなアイツの狂気的な逆恨みから、オマエが悪いんだと内心アイツを罵りながら俺は目を逸らし続けていた。
　知り合ってから数ヶ月間そんなことの繰り返しだったから、訃報を聞いた時真に受けなかった。だがその知らせが本当だとわかった瞬間、嫌なものがじわじわと湧いてくるのを感じた。何故なら死ぬ直前、アイツはいつも通り俺に｢今から死ぬから｣とメッセージを送ってきていたのだ。
　もし俺が真剣に受け止めていたら。
　この事態は起きなかったかもしれない。
　その考えが頭をよぎった途端、ゾッとする感覚が全身に鳥肌をたて、一瞬で凍りついた背筋を汗が伝った。
　俺のせい。
　その思いがこの先ずっと俺を縛り付け続けるなど、アイツのメッセージを無視していた頃の俺は知る由もない。