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悔
酷い雨風に攫われ、枝にしがみついていた最後の桜が散り落ちる梅雨の月末。大学の同級生が死んだ。自殺だった。
アイツは走ってくる電車に体当たりするように駅のホームから線路へ飛び込んだらしい。遭遇した大勢の人々は絶句したに違いない。
人は口々にアイツを罵倒した。じめっとした嫌な気候とダイヤルが乱れたことに対する不満からだろう。誰一人としてアイツの死を悼む者はいなかった。
大学でもその話題で持ちきりだった。みんな勝手な想像や考えでアイツの話をした。
「ストレスがたまってたのかな。」
「変な奴だとは思ってた。」
「賠償金ヤバそう。親不孝者だな。」
入学してすぐのことだったのもあってか、その場にアイツを想って泣く人は一人もいなかった。俺もまたある意味、同じだったのかもしれない。
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