揺れる、ポニーテールの先

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 いくつかの駅を通過した所で、私は電車を降りた。数分程歩いた場所に、陸上クラブの練習で使っていた小さなグラウンドがある筈だった。  今は小学校も夏休み中だから、もしかしたら練習をしているかもしれない。  懐かしいコーチに会えるかも。  そう考えて一瞬心が躍ったが、すぐに意気は消沈した。  会えたとしても、きっと叱られてしまう。  高校総体。  県大会を数日前に終え、今は全国大会へと至る地方大会を目前に控えた大切な時期だ。  本当は、こんな所で練習をサボっていて良いわけがない。  ましてや、私が出場する予定の四×四百メートルリレーは団体競技だ。バトンパスひとつで、チームの順位が大きく左右される。  今はもう、学校で練習が始まった頃だろうか。そこにはきっと、夏希もいるのだろう。  走れなくなった脚を松葉杖で支えて、それでもチームの一員として、そこに居る。  私は、そこに居られない。  夏希の代わりなんて、出来るはずがない。  不意に、スマホの通知音が鳴る。  誰かからメッセージを受信したのだ。部活を無断で休んだ理由を問われているのかもしれない。私はどうしても、それを確認しようという気持ちにはなれなかった。  
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