1

2/4
前へ
/7ページ
次へ
「陽斗、部屋着いたぞ。」 「あ、蓮だぁ。」 舌が回っていない。 まともにひとりで歩けない。 こんなに陽斗が飲むなんて珍しい。 「カードキーは?」 「ポケット。」 俺は陽斗のズボンのポケットから、カードキーを取り出すと部屋のドアを開けた。 そして、陽斗をベッドまで運んだ。 「水飲むか?」 「うん。」 俺は部屋にある冷蔵庫から、ミネラルウォーターを取り出すとキャップを開けて陽斗に手渡した。 「ありがとう。」 陽斗は水をごくごくと飲んだ。 「おい、ちょっと待て。口から零れてる。」 「うーん?」 「ほら、服までびしょ濡れだぞ。早く脱げ。」 「脱がして?」 脱がして?じゃねぇ。 何が嬉しくて、酔っ払ったメンバーの服を脱がさないといけないんだ。 俺は渋々、陽斗のシャツのボタンを外した。 「じっとしてろ。酔っぱらい。」 「はぁーい。」 陽斗は見た目よりも筋肉質だ。 シャツを脱がせた俺は思わずその身体を見つめた。 「どうしたのぉ?」 「なんでもない。」 「水、飲ませて?」 「自分で飲め。」 「無理。飲ませて。」 まじかよ。 俺は陽斗とキスするのか? でも今は仕方ない。 また服を汚されては困る。 俺は無意味な言い訳を考えながら、水を口に含んだ。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加