第一章 - 花霞 -

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もしかして寝てる?なんでこんなところで? ううん、そんなことより、 「こんな着物見たことないなぁ」 少女は上は合わせ目のない着物、下は袴とは明らかに違う生地を膝より上で切られたものを身に付けていた。 これって‥もしかして異国のもの? 「というかこの娘、足出しすぎじゃない!?」 普通ここまで出さないよ!?はしたないっ! 「ん‥」 一人で騒いでいると煩かったのか少女が小さく身動ぎ、顔を少し顰める。 あ、起きたかな? けれど少女は起きず、また気持ち良さそうな寝息を立て始めた。 起きなかったことに少し安堵しながらも、この娘をどうしようかと腕を組んで首を傾ける。 「こんなところに放って置いたら危ないし‥」 今はまだ寒いから風邪を引くかもしれない。 一度、屯所に連れて帰ってみよう。 土方さんが許すとは思えないけどなんとかなるだろう。 この娘に帰る場所があるならその時は帰してあげればいい。 そう考えて少女をゆっくりと抱き上げた。
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