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さわさわと枝垂れ桜がそよ風に煽られて優しく揺れ、その花びらが儚く散っていく。
「───」
薄らと知らない声が風に乗って聞こえた。
咄嗟に振り向く。
でも誰もいない。
「──杏」
「!」
気のせいかと前を向いた瞬間、後ろから誰かに抱き締められた。
「──大好きだよ」
耳元でそう囁かれる。
目の前の桜が舞う幻想的な風景が一瞬にして暗転した。
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