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第2章 見て見ぬふりをする大人たちへの罰
ゼウス『・・・ま、まぁお主に危害を加えようなどとする愚かな人間は一人もいない異世界じゃし、幸せにはなるじゃろ?』
「でもやることがある。」
ゼウス『生をまい進する者は常に何かを消費せねばならん、そこに例外は無いのじゃ。』
「はぁ・・・」
ゼウス『それに”運命の傀儡師”の待遇はとても素晴らしいものだ。』
「というと?」
ゼウス『世界絡みの救世主というのはその世界に住まう人類すべての共通の認識、それと同時に悪事を働く者たちにとっては目の上のたん瘤、目の敵にされる危険性はある。』
「危害加えてくる人いるじゃん!」
ゼウス『最後まで聞け!そういった者から守られる存在になるのだ。
それに、平和的に暮らす人々の平和を守る存在である以上手厚い待遇がある。暮らしに不便することは無いのじゃ。』
「・・・」
ゼウス『まぁ、それはおいおい考えるとして第二段階じゃ』
「はい。」
なんか良いように使われている感しかないが、とりあえず今は復讐・・・らしいのでそれに集中することにする。
ゼウス『お主の担任じゃな、あれは?』
「そうですね。」
担任。
中水先生・・・だったかな?
見た目からバリバリ昭和の体育教師って感じで、竹刀をブンブン振り回してそう。まぁこんな時代にそんな物騒なものを持っているわけもなくただの雰囲気なんだけど・・・
父親が校長、所謂ドラ息子ということなんだろう。
自由に育てられた結果なのか、好き放題させているという感じだった。
康平君が初めて僕をイジメたとき、先生は既に目撃していた。
廊下ですれ違ったとか、何気なく見てしまったとかそんな感じならまだ分からなくもない。エゴで不快ではあるが、人間の心理的にあまり関わりたくないなっていう思いから見て見ぬふりをするというのはあるだろうから。
そうではなかった、自習時間。
康平君が振り返って僕と顔を会わせるなりいきなりビンタしたところを目撃したのだ。
自習時間とは言え、授業中の出来事。
その時の先生の発言は今でも覚えている。
『拳で殴ったりはしないの?』
どうやら平手打ちがお気に召してなかったらしいが、その時点で教師としていや大人としてどうなんだと言いたかった。
その直後先生は、
『なんだよ、その目は・・・
康平君、理由なんてそんなもので良いんだ。君を不快にしたから殴る、君の気持ちを素直に拳にぶつけると良いよ。気持ち良いよ?』
先生も学生時代、いじめっ子としてやっていたような口ぶりだった。
心なしか笑っているようにも見えた。
僕は、先生に言われるがまま楽しそうに笑顔で殴る康平君を見続けることしかできなかった。
ゼウス『さて、どうする?』
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