第3章 運命の傀儡師

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「・・・・緊張した。」 アラン「お疲れ様でした、タクト様。」 ゼウス『おつかれちゃん♪』 「神様軽いなぁ~」 アラン「タクト様、さっそくお次のお仕事です。」 「はぁ!?」 ゼウス『ホレ、スリの常習犯らしき者が何やら獲物を狙ってるそうじゃぞ?』 「信用して良いんですよね?」 ゼウス『神様は嘘はつかん。』 「はぁ分かりました。」 ーー ちょっと薄暗い路地裏、行き交う人々は表通りよりは少ないとはいえ全くいないわけではない。 コチラが近道だと言って通る者、コチラの道に用事がある者、後ろ暗い何かを抱えながら走り去る者、ダークに足を突っ込んで我が物顔でのし歩くもの様々だ・・・ そんな通りに、怪しい挙動を見せるやたら身体が細く長い異質な何者かが誰かを突け狙うかのように歩いていた。 ・・・どう見ても怪しい、怪しいが彼が本当にスリなのかどうなのかはモニターから判断することはできなかった。神様のことを信じるしかあるまい。 僕は念じることにした。 (追い剥ぎにあって一個先の十字路で新品の衣服類を受け取る) #「・・・・」 $「おいおっさん、身ぐるみ一切合切はがしてもらっていくぜ?」 帽子を深くかぶり顔は分からなかったが、よく見るとイイ年したおっさんだったww #「え、あの、いyやめぇやめろ!」 追い剥ぎ犯はガタイがイイ、手際よく全身剥かれ、あわや一糸乱れぬ哀れな姿に変身しましたとさ。 スリの常習犯は顔を真っ赤にして周りを気にしながら小走りで裏路地を駆け巡る。 で、その先十字路で新品な服を受け取って大喜びして帰って行ったそうな。 めでたし、めでたし♪ ーー ゼウス『考えたのう・・・』 アラン「流石心優しきお方、悪意にも善意の心で射止める尊敬いたしますわ。」 「・・・犯罪行為はできないんでしょ?」 ゼウス『・・・できないことはない、かける相手より軽ければ帳消しじゃ。 それに、再犯の可能性が0になればボーナスが付く。』 「ボーナス!?」 ゼウス『お主が最も必要としている力が手に入るんじゃ。』 「・・・チート能力?」 ゼウス『・・・欲しいのか?』 「・・・僕戦うとか興味ないからいらない。」 ゼウス『じゃろうな、したらなんじゃ?』 「・・・・未来が見える?」 ゼウス『その通りじゃ、いちいちワシに聞かんでも済む。』 「用無し?」 ゼウス『そうはイカン、神の力を持つ者をそのまま野放しにするわけにはいかんからのう。どんなに聖人君主な穢れ無き善意の塊であろうと、人の心は移り変わる者。神様としては信じて後を任せるということはできぬのじゃ。 当然、その後もずっと付き添って見守っていくぞい? ただ手間が省けるってだけじゃ。』 そう、まぁいいや。 僕としてもいちいち聞くのは面倒だし・・・ 「ボーナスってそれだけ?」 ゼウス『色々用意しておる、楽しみにしておくがよいぞ?』 アラン「タクト様、次です‼」
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