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――も、もしかしてわ、私は小学生にナンパされ、たの?
まるでさっきまでのナンパされて『かっこいい』だとか浮かれていた自分が嘘のように、頭が冷えた。全身の力が抜けてしまう。
「うっせ!」
長身の彼はその賑やかな友人の声がした方向に大声で返事を返した。
「……あ、あのよ」
「あ。うん」
気まずそうに頬を掻く御堂君は少しずつ言葉を発した。
逃げ出したくなった私はその言葉によって引き止められる。
確かに私の身長は低い。
御堂君の身長は多分学校で1番高い。
なにかを言いかけた彼に対して私は。
「私は小学生にナンパされたってこと!? 悪戯なら他の小学生にやってちょうだい」
小学生の遊びに付き合うほど、私はお人よしではない。
「さようなら」
私は身をひるがえそうとしたが、肩を強く掴まれてしまった。思いの外その力が強くて、私は振り切れなかった。
「ツバキ、アンタに一目惚れしたのは事実だからな! もう他の女子にナンパしない。約束する!」
「わ、私にそんな約束されても……」
私は困惑して視線を泳がせたが、ガシッと顎を掴まれてしまった。
「俺を信じろ」
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