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少年のように……って少年か。澄みきった瞳で見つめられ視線が交差する。
「街を歩いていてアンタに惚れたんだ。結婚してくれ」
「はい!?」
思わず間抜けな声をあげてしまった。
「よし! 『はい』いただきました! 約束する。ツバキ、お前を幸せにするからな! 俺も早く成長して大人なるから安心しろよ」
御堂君はニカッと笑うと私の右頬に唇を寄せてきた。
「きゃー!」
「なにその反応。すっげー超可愛い!」
私が奇声を発して顎を掴む手を振り払えば、御堂君は目を細めてクククと喉の奥で笑った。
私の顔が赤く染まっているということも笑っているのだろう。
その笑い方が、見様によっては青年にも見えるし、小学生のようにも見えるのは、なぜだろうか。
容姿は大人っぽいけれど、言動が小学生っぽいからだろうか。
チグハグとした御堂くんに私はパニックになってしまった。
頭が混乱しない方がおかしい。
「み、御堂君!」
「俺の事は晃でいいぜ。名前で呼べよ」
名前で呼べと指定される。
「あ、晃くん! 大人をからかうのはやめなさいって学校で習わなかった?」
私は腰に手を当てて上を見上げた。頬に空気を入れて膨らませるのも忘れない。
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