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男子の中では身長が低いが目はパッチリしているし、いつ見てもクセっ毛なのか髪の毛がハネている。そこが可愛いと女子の中では大人気なの。
今日の騒動でうんざりとした様子で振り返った。
両手には大きな紙袋が2つあり、溢れんばかりのチョコレートが詰まっている、
「わ、私のチョコレート、貰ってくれませんか」
目をつぶって両手でチョコレートの包みを差し出したはいいが――
「――君は、誰?」
夕陽に照らされている御堂君は、抑揚のない声でそう言った。
私の名前どころか、顔も知らないみたい。私は軽くめまいを覚えた。そうだよね。私の名前なんか知るわけもないよね。別のクラスなんだもん。
私は落ち込んで帰ろうとした矢先――
「名前を教えて?」
今度は少し優しい声音で私に声をかけてきた。
戸惑っている私に、
「僕の名前は御堂瞬です。君の名前を教えて?」
まるで自己紹介をするかのように、今度は御堂くんは自分の名前を名乗ってから、私に名前を尋ねてきた。
「八戸椿です」
ドキドキとしながら私は名乗った。
「……そう」
御堂君はそう言うとゆっくりとした動作で立ち上がった
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