私と彼とランドセル

14/87
前へ
/87ページ
次へ
男子の中では身長が低いが目はパッチリしているし、いつ見てもクセっ毛なのか髪の毛がハネている。そこが可愛いと女子の中では大人気なの。 今日の騒動でうんざりとした様子で振り返った。 両手には大きな紙袋が2つあり、溢れんばかりのチョコレートが詰まっている、 「わ、私のチョコレート、貰ってくれませんか」 目をつぶって両手でチョコレートの包みを差し出したはいいが―― 「――君は、誰?」 夕陽に照らされている御堂君は、抑揚のない声でそう言った。 私の名前どころか、顔も知らないみたい。私は軽くめまいを覚えた。そうだよね。私の名前なんか知るわけもないよね。別のクラスなんだもん。 私は落ち込んで帰ろうとした矢先―― 「名前を教えて?」 今度は少し優しい声音で私に声をかけてきた。 戸惑っている私に、 「僕の名前は御堂瞬です。君の名前を教えて?」 まるで自己紹介をするかのように、今度は御堂くんは自分の名前を名乗ってから、私に名前を尋ねてきた。 「八戸椿です」 ドキドキとしながら私は名乗った。 「……そう」 御堂君はそう言うとゆっくりとした動作で立ち上がった
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加