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彼の身長は男子生徒中で、低い方とはいっても私よりは高い。やっぱり男子高校生だ。
彼はまっすぐな瞳で私の目を捉えてくる。
――目が離せなかった。
「ははは。やっと分かった。君の名前」
なにやら彼は1人で笑いだしたものだから、私はその上品な笑い方に目を奪われてしまった。品のある笑い方をする彼を遠くから見ていて、私は惚れていた。
「……ずっと前、入学受験の日から好きでした」
優しい声音で紡がれた言葉に、私は目を見開いた。そして私は自分の耳を疑った。
「――え!?」
聞き返すと彼は照れたように笑みをこぼした。その笑い方にもときめいてしまう。
「受験の日、消しゴムを忘れて困っていた僕に消しゴムを半分に割ってくれたよね? 覚えていないかな?」
そういえば、名前も知らない男子にそんな事をした覚えがあったがある。今まですっかり忘れていたことだ。
「そのチョコレート、僕が貰ってもいいかな」
そう言いながら私の手からチョコレートを受け取ろうと近づいてきた御堂くん。
……ということは、私の想いは、私の気持ちは……
思いあがってしまう私の心臓が破裂しそうなそのときだった。
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