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小学生の男児と知り合いの女子高生なんてそうそう居ないだろう。ましてやツバキと下の名前で呼ばれていて、親しげに近寄ってくる。
「うん。僕達は兄弟」
そう言い切った御堂くん。
そしてそれ以降、この場では沈黙に包まれてしまった。
旗から見ればおかしな光景だっただろう。
***
その沈黙を破ったのは晃くんだった。
「そのチョコレートは俺に、だろ?」
晃くんは、自分が手に持っていた袋を手放しその場に置くと、私が持ったままでいる赤い包み紙のチョコレートを奪うように攫って行った。
「あっ!」
びっくりした私と御堂くんの声が重る。
「ツバキは俺のカノジョだもんなー」
箱の角を齧る晃くんの身長は、兄の御堂くんを抜かしていた。
ニカッと笑う晃君を見た御堂くんは、次に私を見て「本当に!?」と驚嘆の声を上げた。
「弟と八戸さんが……」
「違いますー!!」
私はブンブンと首を横に振り完全否定をするが、私の言動を遮るかのように携帯電話の着信音が鳴った、
慌ててポケットから取り出せば、表示は『みどう晃』。なぜ目の前にいるのに電話をかけてくるのだろうか。まるで私の恋愛を邪魔しているような――
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