私と彼とランドセル

今の時代には私のように旧型の携帯電話を所持して居る人物はごく僅かしかいないだろう。それでも所持している人はまだいる。そんなに珍しい機械ではない。
……だから、そんなにも顔を近づけて見てこないで。恥ずかしい。
「それ、どうやって連絡先を交換すんの？」
そう言いながら彼がポケットから取り出した携帯電話は最新型。
確かに。どうやって連絡先を交換すればいいのだろうか。
交換方法は最新式同士でなければ交換ができないと友達のナホちゃんが嘆いていたのを覚えている。その友達はナンパで出会った年上の男性と今ではラブラブな日々を
送っていて、 　自慢するかのように私にはしゃいで話しかけてくる。聞いていてとてもドキドキとさせてもらっている。
「えーと」
一瞬私は悩み、そのその友達との会話を思い出し、メール画面を表示させ、自分の携帯電話番号とメールアドレスを入力し、彼に見せた。
「この画面を写真に撮ってください」
「あ、ああ！　なるほど。その画像を観ながら俺が後で入力をすればいいわけか。あったまいい」
彼は私の意図に気がつき口笛を鳴らして写真を撮影した。私が考えたテクニックではなくて友達の技だけれど。