私と彼とランドセル

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「俺の連絡先はこれな」 最新型から古い機種への交換は簡単だった。操作1つで私の携帯電話の中に彼の情報が入ってきた。 「みどう晃。080……」 平仮名でそう書かれていた。 「ひら、がな?」 思わず呟いてしまった。いや。平仮名で驚いてはいけない。最近はお洒落にわざと平仮名で名前を書く人も居るし。どのようにプロフィールを書こうが自由だろう。む しろ個性的でいいと思う。 「だって俺の名前難しいんだからしょうがねーじゃん」 私の呟きに反応してどこか唇を尖らせた彼は、どこか幼さを感じさせる。 「あ。アンタの名前は?」 そう尋ねられた私は、私も彼のことは言えないので、メール画面に表示させて、連絡先に手打ちで入力を頼んだ。私の漢字は簡単だけれど―― 私の名前を八戸と表示させれば、 「……はち……とびら、なぁ、アンタの名前なんて読むんだこれ?」 自分の携帯電話に映し出されていた私のプロフィールを、まるで難問でも解くかのような顔をして訪ねてきた。 凛々しい顔つきはより凛々しくなり、眉間には思いっきり皺を寄せて、顔を歪ませている。 その表情もなんともいえず妖艶で好みだが、だが……
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