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「――私の名前が読めませんか」
有名な地名が読めない彼に、思わず聞き返してしまう。
「だーかーら、読めねーって言ってんじゃんか!」
彼は地団太を踏んで頬を思いっきり膨らませた。一体どうしてそこまで熱くなるというのだ。怒り出す理由がわからない。そもそも私の名字は少々変わっているが、面
白い地名でもある。
「はちのへ、と読みます」
そう答えれば、
「屁がやっつか! ップップップー」
「ちっがーう!!」
幼稚な馬鹿にされたかに思わず声を荒げてしまう。小学校の頃何回この名字でからかわれたことか……。
子供っぽい反応された私は、なんだから彼に対して感じた第一印象が崩れて行く気がしが、
もっと大人っぽくてカッコイイとおもったのになぁ。
「……で?」
「で?」
で、と言われても,と戸惑っていると、
「名前だよ。な・ま・え! なんて読むんだよ! つーか、漢字にすんなっつーの」
一語一語言葉を区切り催促されてしまう。
まさかこの漢字も読めないの?
「……つ、つばき、と読みます」
さっきのおならのからかい方といい、なんかこの人怪しい人な気がする……。まさか、私、危ない男に連絡先を渡しちゃった!?
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