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私の制服を見れば分かるでしょうに、彼は尋ねてくる。そうだ。友達に聞いたことがある。
ナンパとかって、知っていることでもわざと尋ねて共有する時間を稼ぐものだと。
「奈良北高校」
至近距離に照れて俯き、自分のつま先を見ながら言葉を紡ぐ。
「――は?」
すると彼は素っ頓狂な声を発した。
「え?」
私は声につられて上を見上げる。
「アンタ高校生!?」
と、聞かれ、私は大きく頷く。
彼は。
「マジかよ……」
と、嘆いた。天(そら)を仰ぎおでこに手をのせた。
何を嘆く必要があるのだろうか。県内、この辺りでも平均的な学校なはずだ。
なにやら驚きを隠せない様子のみどうさんに、今度は私が尋ねる。
「みどうさんはどこ高校ですか?」
と。
すると、みどうさんは、小さな声で
「奈良北」
と喋った。
「じゃあ同じ高校だったんですね!!」
先輩の顔ぶれなんて私には知らないけれど、こんな私好みの先輩なんていたんだ。と感激する。落ち着いていて私が倒れそうになったら支えてくれたし、身長は高いし
スラリと足は長いし、きっと先輩だろう。1年生の同学年には彼の姿は居なかった気がするし……。
「同じ学校だったんですね」
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