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感激していると、
「――ん。」
みどうさんは自分の肩を指差した。
「はい?」
私はわけも分からずに首を傾げる。
「ん!」
私が不思議がっていると、みどうさんは私に背中を向けた。
もう私には興味がないのだということだろうか。帰りたいのかな……落胆しかけたその時だった。
私の視界に飛び込んできたのは、彼の広い背中に黒く形が歪んでいる物体を背負っている光景。
「――んなっ!」
私は言葉を失ってしまった。
「……ラ、ランド……セ、ル」
―― そう。彼は艶が消えかけた黒いランドセルを背負っていた。
「奈良北小学校6年2組。みどう晃。飼育委員。バスケット部所属」
みどう君は罰が悪そうな表情を浮かべてから、凝視している私の視線から逃れるように視線を祖むけた。
ランドセルの脇には『御堂晃』と漢字で書かれている。きっと親御さんが書いた文字だろう。達筆だった。
「おーい! あーきーらー!! そんなところで何してんだよ!」
「またどっかの小学校の女の子にナンパしてんのかぁ?」
「そんなことよりバスケしようぜ!!」
どこからともなく御堂君を呼ぶ声が聞こえる。
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