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俺は言葉には出さないが、もしかしたら態度に出てしまっていたかもしれない。
現に柚葉の弟にはバレていた。
それでも男同士秘密にしてくれていた。
柚葉の弟は俺の妹に恋をしている。
お互いに同盟を組んだ俺達は、男同士秘密を固く守りつつ、互いの姉と妹を護りつつ一緒に遊び、学び、そして家族同然の仲として楽しく笑顔で暮らしていた。
とても居心地がいい空間だった。
あたたかい家族愛。
木漏れ日に包まれた、柚葉にキスをした忘れられないあの日の出来事のように、俺はこの間柄がとても居心地がよかった。
だが、この幸せだった空間に激震が走った。
――この世の終わりが訪れた。
俺の世界は終焉を迎えた。
****
俺にとっての誤算は同学年ではないということだが、それ以上の誤算はない。
「どうして俺をもう1日遅く生んでくれなかったんだよー!」
高校2年生にのゴールデンウィークに、俺はキッチンに立つ母親に泣きつく。
「しかたがないでしょう。出るものは出ちゃったんだから」
洗い物をしながら母さんは呆れたため息を吐き出しながら、
「ちょっと邪魔よ」
なんて言ってくる。
「出るものは出るってうんちみたいに言うなよ」
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