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「ベッドの下に隠してあった少女漫画の影響だろう? あの漫画はいい漫画だ」
母さんは不敵な笑みを浮かべる。
「んなっ。……どうしてそれを。勝手に読むなよ」
「母さん、なんでもお見通しだよ。アンタが柚葉ちゃんのことをずうっと小さい頃から変態な目で見ていたこともね」
眉毛を若干釣り上げて腕を組む母さんに、俺は、
「俺は変態なんかじゃない」
と言い返すが、効果がないことは百も承知している。
「アンタを変態と呼ばないで誰を変態と呼ぶんだい?」
なにも言い返せないで黙り込む俺に、母さんは問いかけてくる。
「柚葉ちゃんに認められたくて必死に頑張ってきたのは母さんも父ちゃんもわかっていたさ。でもこのままじゃアンタが可哀そうだ。そんなに毎日朝から晩までジメジメとした顔で居られらたら部屋の中までキノコが生えてカビだらけになってしまうよ」
母さんが俺の頭を撫でる。
「アンタはこのままでいいのかい? 柚葉ちゃんをどこぞの誰かもわからない男にとられたままで」
「いやだ」
俺は母さんの質問に間髪入れずに即答をした。
「だったらアンタの力で正々堂々正面からお姫様を自分の彼女にしなさい」
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