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「で、トイレの前に来たが……どうやって入って確かめるんだ?」
「ふっふーん。こうするのだ!」
ムジナが取り出したのはセーラー服。
しかし、一着しかない。
「変装?」
「そ。お前はなんか女々しいからいらないだろ」
「いや、いるって!」
「ちゃんと用意してるぜ」
そう言って勢いよく取り出したのは……。
「これって……赤ずきん?」
「赤だしな」
「人のイメージカラーで決めるな!」
「赤なのか……墓穴掘ったな」
「と、とにかく行くぞ!」
トイレの花子さんとは、学校の怪談でも有名な女の子の幽霊。
学校3Fのトイレの扉を3回ノックし、『花子さんいらっしゃいますか?』と尋ねる。
それを一番前の扉から三番目の扉にするのを三回繰り返す。すると、三番目のトイレから返事が返ってくる。そして扉を開けると花子さんが入ってて、トイレに引き込まれるという。
「ノックしたぜ。次でラストだな」
「本当に呼び出すのか?」
「あぁ!起こってる事件も気になるしな……全て暴露させてやる」
「そうか……ま、好きにしろ。俺はあっちで見てるからさ」
「お前もやるんだよ」
「はいはい」
ムジナに押され、二人は前進した。そして手前から二番目の個室に差し掛かった時だった。
──ドンドンドン!
扉が叩かれる音がした。
「……お前、叩いたか?」
「こんな所からどうやって叩けっていうんだよ。そっちこそやったんじゃないのか?」
「違うって」
「「ってことは……?!」」
──ギィ……。
『……あなたたちも引き込んであげる』
嬉しそうな少女の声が響いた。
それと同時に二人の命知らずな男たちの叫び声も響いた。
「出たあああああああっ?!」
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