好きなんだからいいじゃない

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「あ」 「お」  久々に見る顔。  学校でしか会わないから、夏休みに入ると途端に交流が途絶える。  私たちはその程度の関係。 「よー立木(たちき)。お前もここ来たんだな」 「そういう崎下(さきした)だって……」  というか崎下がこんなところに来るなんて意外。 「何だよ、俺がここにいてたらおかしいか?」 「おかしくはないけど、ちょっとびっくりした……」  だってここは。 「はーい、今からシャンシャンのもふり体験でーす」  司会のお姉さんの一斉で観客が沸き立つ。  ステージの下から、ピンク色の大きくてふわふわで笑顔がキュートなぬいぐるみが現れた。 「お、シャンシャンだ。また後で話そうぜ」 「あ、うん……」  そうだ。せっかく生のシャンシャンを見にきたのだから。
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