未来の砂嵐

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あれから数年。男は未だに独り身でいた。夢で少年が言っていた様に、花嫁が男の元へ訪ねて来るワケも無く、花嫁は未だに新郎と仲良く暮らしているらしい……。別にそんな夢など長く覚えている筈もない男は、日々を淡々と過ごしていた。しかし、住んでいたのは海の見える赤い屋根の家。貯めたお金で建てた一軒家で、男は毎日窓から見える海をぼんやりと眺めていた。そんな時だった。自宅のチャイムが珍しく鳴った。 「はい」 男が出ると、そこには見知らぬ夫婦が立っていた。 「こんにちは」「隣に越してきた者です」「あ、どうも……」 優しそうな夫婦は引っ越しの挨拶に来たらしく、男が軽く会釈をすると、女性は自身の背後に向けて声を発した。 「ほら、隠れてないで貴方も挨拶なさい?」 女性が告げると、背後に隠れていた小さな子供は恥ずかしそうに顔を出す。
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